初夏

大学から近い中央線沿いの

街とはいいがたい

どこか田舎くさい場所からの帰り道

バスに乗った。

ちょうど一番後ろの

遮りのない、赤の他人が五人程度

つらつらと頭が並べられる席で

私は真ん中に座った。

その帰りは3人で5人分の席を使うことになった。

右隣の女の子は、私が座る前から

手にキャベツ太郎の袋を持っていて

もう片方の手でひたすらに中身をつまみ出しては

池の中でパクパクと餌を待つ鯉のように

パクパクと次から次へと口に運んで、

たまに奥の太郎たちを手前に引き出すために

前後に振っては食べるを繰り返していた。

もしかしたら私よりも

年下かもしれない女の子が

キャベツ太郎

夕方のそんなに混んでないバスの中で

必死に食べていた。

左隣では二人分くらいあるであろう

大きなお尻と体をぐったりと席にあずけたおばさんが、

そわそわと周りを気にしているような

なかなかじっと出来ない様子で座っていた。

初夏にも近い今の季節は、

バスの車内を蒸すのに十分で、

ただでさえ他の人より大きな彼女は

汗をかいているようで、

どこかツンとする匂いがした。

右隣のキャベツ太郎を食べている彼女の栄養分を

左隣の大きな彼女が、吸収しているようで、

なんだか、ひどい想像だけど、ちょっと笑えた。


前の方では堂々と車椅子席に座る人たちが

乗り込んできたおばあさんが

まるで透明人間であるかのように

見えないようだった。

バスの発車ギリギリで

駆け込んできた会社勤めをしているであろう

男性は、息を荒げたままで

車内を一層蒸し暑くさせた。